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洗剤<2009/12/9>

  2009年6-8月に行ったカヤッキング旅行の際にオルカ(シャチ)ウォッチング・ボートに乗り、そのネイチャーガイドの方々の説明の中に、シャチやシール等の海棲生物の体内に蓄積されている化学物質の問題を聞いた。
 これらはシャチの寿命に影響するだけでなく、母親から子へと濃縮された化学物質が受け継がれる問題や、食物連鎖の中で高濃度に蓄積された魚などを食べる人間にも影響を与えている。回りまわって自分に跳ね返っている訳であり、今すぐにアクションを起こせる問題である。
 我が家で使用していた洗剤の種類は10種類以上。それらの洗剤を、環境負荷の低い代替品へと替え、種類と量を極力抑える試みを行っている。もちろんセコロジーの精神で、コスト削減との両立が求められる。

(1)今まで使用中の洗剤

・台所まわり
 台所用中性洗剤:食器洗い
 マジックリン:ガスレンジまわりの油汚れ
 クレンザー:焦げ付きなどのガンコ汚れ
 キッチンハイター:漂白、殺菌
 ハンドソープ:手洗い
 食洗機洗剤:食器洗い

・洗面所、風呂場
 ハンドソープ:手洗い
 ハイター:漂白、除菌
 風呂場用洗剤:浴槽まわり
 ボディソープ:体洗い
 シャンプー、リンス:頭洗い
 洗顔せっけん:洗顔
 カビ取り洗剤:風呂場のカビ取り

・洗濯
 洗濯洗剤:衣類の通常洗濯
 柔軟剤入洗剤:おしゃれ着、ふんわり仕上げ
 衣類用漂白剤:色柄物の漂白
 洗濯槽洗剤:洗濯槽の洗浄、除菌

・排水口、下水、河川の汚染防止
 えひめAI-2:家庭で作れる環境浄化微生物

 これは、テレ朝の宇宙船地球号という番組でも紹介された、納豆、ヨーグルト、砂糖、ドライイースト、水道水から家庭で作れる環境浄化微生物を培養する液体です。
 えひめAI-2を台所や洗面所、風呂場の排水口、トイレで使用すると、家庭雑排水を微生物の力で浄化して、水質の向上、汚泥やヘドロ削減、消臭等の環境改善及び、生活排水による河川への環境負荷を減らします。
 我が家では、コンポストしている生ごみに対しても使っています。三角コーナーに溜めている生ごみに散布すると、匂いが低減されて微生物が繁殖(白いカビの様)し、生ごみの分解が促進されます。
 ゴミ箱内にスプレーすれば、悪臭が抑えられます。

 我が家の作り方は、定期的に食べるヨーグルトを出した後のパッケージ内に、砂糖と納豆一粒、ドライイーストを加え、残ったヨーグルトと混ぜあわせています。食べ終わった器のヨーグルトも水道水ですすいで加えています。
 35度程度の温度で培養するのですが、ヒーターで温めるのは不経済なので、食器洗い洗浄機の上に置いて温めています。それで問題なく作れていて、数日後にはお酒のような甘い香りがします。
 定期的に作った後の残さを取り出し、生ごみと一緒にコンポストしています。コンポストしている土の表面に、白カビのようなモノが発生し、良い菌が繁殖していると思われます。

(2)洗剤の環境負荷

 これら洗剤には、湖川や海洋の富栄養化の原因となる物質や、生物に影響を与える物質が含まれている。
 また、ヤシ油やパーム油を原料とするせっけんや植物系合成洗剤は、栽培に伴なう熱帯雨林の破壊問題が存在する。食用に比べ少ないにしても、絶対量を削減する努力は必要。
 原料により、石油系の合成洗剤、植物系の合成洗剤、石鹸に大別できるが、それぞれ長所・短所があり、一概にどれがいいとは言い難い。合成洗剤VS石鹸という構図もあり得る。
 それらについては数多くの書籍(”買ってはいけない”といった賛否両論の書籍等)やウェブサイトが存在している。
 数多くあるサイトの中で、こちらのサイトは詳しく説明しています。

 私個人としてはどちらが良いという結論には達せず、下記の方針を取ることに決めた。
 ・まず初めに使用する洗剤の絶対量を減らす
 ・洗剤の種類を減らす
 ・天然由来の原料を使用している洗剤を選ぶ
 ・原料採取が環境破壊を招かない洗剤を選ぶ
 ・使用後に生物への影響が少ないものを選ぶ(これの判断が一番難しい)
 ・現実的なコストで入手可能であること
 ・マジックリンをスチームクリーナーで代替する等、違う視点からも検討する


(3)代替洗剤の選定と代替案

1)代替洗剤

 ジィファイブテン株式会社が販売している Formula G-510

 何故これを選んだかという理由は下記の通り。
・第一に北米の針葉樹から抽出した天然由来の成分が原料であること
・対象の範囲が広く、台所から風呂場、洗濯、自動車(そのまま河川に流れ込む)まで使えること
・環境負荷が小さいこと
・環境を意識する企業に納入されている実績がある
・値段が手頃(原液1Lで約\2,000、用途に合わせ薄めて使用)
・カーペットに吹きつけて使用しても安全(ペットにも安全)で、スチームクリーナーと合わせての使用が効果的
 細かい内容はリンク先を参照ください。

 以上、(2)の方針にほぼ100%合致する洗剤であると思う。
 そしてコストは、中性洗剤の代替えとして使用する場合、G-510を10〜20倍に希釈して使用するので、市販の家庭用中性洗剤に比べ同等以下のコストに抑えられる。
 最近多い中性洗剤の「除菌」という機能に関しては、より効果の高いアルコール系や、家庭で作れる殺菌水で対応可能。

2)スチームクリーナーとの併用

 洗剤の種類によっては、無くすと困るものもある。特にガンコ汚れは厄介。
 そこで、高温の蒸気で汚れを浮かして除去する、家庭用のスチームクリーナーを導入することにした。
 機種としては、信頼のおけるメーカーであるドイツのケルヒャーを選んだ。値段は1万円以上するが、台所まわりから風呂場、トイレ、カーペット、窓等々、かなり重宝すると思われる。
 タイルカーペット(防音用の静床ライト)でG-510と併用した感じでは、ある程度汚れが取れ、毛の間に溜まったゴミも取れる。ちゃんと起毛するのは難しいけれど、時間をかければ少し起毛もできる。

3)洗濯の時間を短縮する洗濯洗剤の使用

 G-510を洗濯に使用する場合、30Lの水に対してキャップ1杯ほどの原液を使用する。そのコストは、市販の液体洗剤に比べて数倍のコストになり、ちょっと受け入れがたい。
 そこで、最近発売された花王のアタックNEOという液体洗剤を使用している。蛍光増白剤や漂白剤は使っていないが、石油系合成洗剤なので抵抗感はあるけれど、すすぎ一回のスピード洗いが可能ということで、水と電気の節約になる。
 同時に、洗剤の使用料を少なくすることで環境負荷を低減する。

4)重曹の使用

 しつこいガンコ汚れには、伝統的な重曹を用いる。
 洗濯の際に入れると、衣類がふんわり仕上がる。

5)ボディソープ、シャンプー、リンス、ハンドソープ

 既に使用している無添加せっけんを継続使用。

6)漂白、殺菌

 前から使用している家庭用次亜塩素水製造機(ナショナル製製造終了)で、殺菌水を作って使用する。
 これは、食品用に食塩と水道水を電気分解して次亜塩素酸ナトリウム(アルカリ性)を作り、その他用には塩と酢、水道水を電気分解して次亜塩素酸(弱酸性)を作る。

7)カビ取り

 次亜塩素酸の殺菌水+スチームクリーナーを使用。
 「混ぜるな危険」に注意して、G-510も使用。


(4)代替できない洗剤

1)食器洗い洗浄機

 卵やご飯などのタンパク質を分解する、専用の酵素系合成洗剤を使用している。
 台所用中性洗剤は、泡立ってしまい使用できない。酵素も配合されていない。
 泡立の少ないG-510を使用しても構わないけれど、洗い残しがでるのは困る。

2)台所用漂白剤

 まな板や茶渋の付いたカップ等の漂白には欠かせない。
 下水管内で短時間のうちに活性を失い、分解の早い性質ではあるけれど、環境に影響がある為、極力使用を控える。
 ハイターやブリーチといった塩素系漂白剤は、燃やすとダイオキシンを発生する為、製紙業界では使わなくなってきている。
 家庭用は燃やすわけではないけれど、空きボトルの残留分が燃やされる可能性はある。下水処理での残留や汚泥焼却へ影響は無いようではある。

3)洗濯洗剤

 G-510はコストから断念。アタックNEOでお茶を濁す...
 おしゃれ着洗い用の洗濯洗剤は、今のところ代替品は見つかっていない。そもそもいらない気もする。タオルについては、オーガニックコットンには拘るが、ふっくら感は求めていない。
 アルミ系の洗濯槽でなければ重曹を加え、せっけんで洗えるのかもしれない。しかし、せっけんの残留の懸念がある。
 30度前後のお湯で洗うと良い様ですが、お湯を沸かせばエネルギーを消費するし経済的でない。太陽熱温水器があれば一番良い
 理想は、太陽熱温水+せっけんでの洗濯だろうか。

4)衣類用漂白剤

 極力使用を控える。

5)洗顔せっけん、クレンジング

 ファンケルを使用中。これは継続使用する。


(5)結果

 結果は下記の通り。

1)G-510で代替
 台所用中性洗剤:食器洗い
 風呂場用洗剤:浴槽まわり
 自動車の洗車

2)G-510(または重曹)+スチームクリーナーで代替
 マジックリン:ガスレンジまわりの油汚れ
 クレンザー:焦げ付きなどのガンコ汚れ

3)家庭用次亜塩素水製造機の殺菌水で代替し、市販の漂白剤使用は極力控える

 キッチンハイター:漂白、殺菌
 カビ取り洗剤:風呂場のカビ取り

4)極力使用を控える
 洗濯槽洗剤:洗濯槽の洗浄、除菌
 衣類用漂白剤:色柄物の漂白
 
5)無添加せっけん使用
 ハンドソープ:手洗い
 ボディソープ:体洗い
 シャンプー、リンス:頭洗い

6)そのまま継続使用
 食洗機洗剤:食器洗い
 洗顔せっけん:洗顔
 えひめAI-2:家庭で作れる環境浄化微生物

7)省エネ、節水タイプに変更
  洗濯洗剤:衣類の通常洗濯

8)廃止
 柔軟剤入洗剤:おしゃれ着、ふんわり仕上げ


 以上の通りですが、まだ改善の余地はある。
 特に洗濯については、もう少し勉強が必要。コストを下げつつ環境負荷を減らしたい。
 改善の目玉は、Formula G-510への代替えになるけれど、他のものも探し続けてコスト削減も模索する。
 もし他のベターな選択肢があれば、アップデートしてご報告いたします。