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2009年の環境家計簿


祝!1990年比-25%達成?
素直に喜べないのは何故でしょう...


(1)2009年二酸化炭素排出量目標値

 2007(最新データ)年家庭から排出された二酸化炭素量全国平均4,300kg-CO2(二人家庭)比-25%:約3,225kg-CO2/年(268.75kg-CO2/月)

 最終目標は、日本政府目標値と同じ1990年比-25%
 1990年家庭から排出された二酸化炭素量全国平均3,200kg-CO2(二人家庭)比-25%:約2,400kg-CO2/年(200kg-CO2/月)


(2)2009年のイベント

・ビッグホーン ディーゼル廃車
・日産ノート15X購入
・冷蔵庫買い替え
・6-8月1名海外渡航


(3)環境家計簿の実績




(4)考察

<2009年日常生活のCO2排出量>

 日常生活のCO2排出量は劇的に減りました。
1990年比-25%が達成できるとは思ってもみませんでしたが、海外渡航を除けば達成できてしまった様です。
大きく貢献したのは冷蔵庫買い換え、自動車の使用を控えた事です。
 
 電気とガスは季節変動が大きく、自動車については給油した月に計上している為、見かけ上振れ幅が大きい。また、LPGも充填した月に計上している。
6-8月は、1名海外渡航により電気とガス消費量が減少している。
6-8月は平均191kg-CO2に対して70kg-CO2程低いが、例年夏場のCO2排出量は低く、9月の排出量は150kg-CO2を下回っている。
2名だったとしても、プラス30kg-CO2/月の3ヶ月分90kg-CO2程度と予想される為、2009年総排出量2,297.151kg-CO2に加算されても2,400kg-CO2を下回ると考えられます。
 よって、1990年家庭から排出された二酸化炭素量全国平均3,200kg-CO2(二人家庭)比-25%の約2,400kg-CO2/年(200kg-CO2/月)を下回る事となり、2009年目標の2007年全国平均値-25%はもちろん、既に1990年比年全国平均値-25%を達成できました。

2010年は2009年ほど自動車の使用を控えられるか心配な面があります。
その分、電気など一層の削減が必要です

ただし、これ以上の削減となると、何かブレークスルーが必要です。
例えば、ソーラー発電やヒートポンプ、燃料電池、電気自動車など、初期投資の大きなものばかり。



<2009年6-8月海外渡航のCO2排出量>

CO2総排出量:4,000kg-CO2

1)交通機関
 フェリー:アラスカマリンハイウェイシステムAlaska Marine HIghway SystemのCO2排出量が計算出来ない為、商船三井の大洗~苫小牧フェリーの排出原単位 39(g-co2/トンキロ)[日本長距離フェリー協会より]を使用しました。
       ワシントン州ベリングハムBelingham~アラスカ州ジュノーJuneau往復 964マイル=1,542.4km、1名+荷物=150kgのCO2排出量:約9kg-CO2 往復18kg-CO2
       (復路はプリンスルパートでBCフェリーに乗り換えてバンクーバー島へ移動、その後バス移動とフェリーでシアトルへ戻ったけれど、計算が複雑なのでバス移動を含めて往復のフェリー移動にしてしまいました。)

 航空機:成田~シアトル往復 エコノミー大人1名のCO2排出量:1,860kg-CO2[JALカーボンオフセットより]
       大人2名往復 3,720kg-CO2

 合計CO2排出量 : 3,738kg-CO2

2)荷物輸送
 その他旅の間に排出したCO2については、EMS(国際スピード便)と船便で荷物を送った分が大きなウェイトを占めます。
 食料SAL便片道約30kg、カヤック等往路EMS30kg、復路船便30kgなので、航空機を使用するEMSとSAL便で荷物30kgが往復した計算になります。
 ただし、二人とも航空機で移動した際は、預け入れ荷物が23kg以内1個であったから、荷物30kg往復分は、二人が航空機で往復した分に含めてしまいます。

3)現地生活
 現地での発生ゴミや宿泊に伴うエネルギー消費がありますが、殆どの期間をカヤッキングとキャンピングで費やしましたから、3ヶ月で多く見積もっても100kg-CO2以内には収まります。

4)オルカウォッチング船
 結構多いと思います
 でもCO2排出量は分かりませんから、162kg-CO2にしてしまい、総排出量4,000kg-CO2にしちゃいます。


<カーボンオフセット>

 海外渡航のCO2排出量がどんぶり勘定で4,000kg-CO2というのは膨大な量です。
この数字は、2007年家庭から排出される二酸化炭素量の全国平均4,300kg-CO2(二人家庭)とほぼ同じです。
90%以上を航空機移動が占めているのですが、これはもうカーボンオフセット以外に解決方法は見当たりません。
海外渡航に伴うCO2排出量は、我が家の排出する1年分CO2の2倍近い数字ですから、太陽光パネルを設置しようが、自動車を使用無くそうが、個人の努力では解決できない。
Yahoo!カーボンオフセットでは、1000円あたりのCO2削減換算量190~267kgですから、4,000kg-CO2をオフセットするのに14,981~21,053円支払うことになります。

<以下Yahoo!カーボンオフセットからの引用>
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マディヤ・プラデシュ州で食用油製造大手RSIL社他5社が共同で小規模風力発電事業を実施しています。電力不足に悩む地域で風力による再生可能エネル ギーを採用することで化石燃料の利用を抑制し温室効果ガスの発生を回避するとともにインド連邦政府としての再生可能エネルギー採用を促進することが期待さ れます。建設期間中には技術・非技術労働者併せて40名近くを育成・雇用し、操業後もメンテナンス要員として数名の雇用を継続的に確保しています。本事業 の実現に伴い近傍での風力発電開発プロジェクト促進が図られており、インドの持続可能な開発に寄与しています。7年間のプロジェクト期間中に合計 77,841トンのCO2排出量が削減される見込みです。

インド国・タミルナードゥ州でタミルナードゥ製紙会社と共同で小規模風力発電事業を実施しました。この風力発電所により最大で6.75MWの電力が生み出 されます。タミルナードゥ製紙会社は自社で生産している紙製品の年間230,000トンを再生可能な資源(サトウキビの搾りかすなど)により生産を行って いますが、さらなる環境への負荷軽減を求め、再生可能エネルギーを生み出す風力発電事業を実施しました。この風量発電事業で年間14,431トンのCO2 が削減されました。また、プロジェクト全体では、2004年から20014年の間に144,312トンのCO2排出量が削減される見込みです。
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<引用終り>

 これが高いか安いか論議のあるところですが、私の調べた限りでは、カーボンオフセットの仕組み自体に問題が有り、その計算根拠もかなり都合の良い設定になっています。
例えば、カーボンオフセットの資金がインドの風力発電に投資されたとして、その風力発電施設が実際に稼働して削減できたCO2に対してオフセットされるのではなく、計画段階の見込みに対してオフセット量と価格が設定されています。
本来は、実際に稼働して得られた二酸化炭素発電量を購入しなくてはなりません。
もしも、何かの災害や故障で稼働できなくなれば、カーボンオフセットが無意味なものになります。(もちろん、既にCO2が削減された分については無駄では有りません)
カーボンオフセットが仕組みとして本当に有効かどうか、疑念が払拭出来ない段階で投資すべきかどうか悩ましいところです。
また、この程度の金額で、本当にオフセット出来ているのだろうかと疑ってしまいます。
個人的には、プロジェクトのチェックし易い国内のプロジェクトに投資できればと考えていますが、どこにも見当たりませんでした。
インドに投資した方がはるかに安く、効率的にCO2を削減したように見えるからでしょう。


・カーボンオフセットの信頼性についての報道
読売新聞の記事によると
(以下引用)
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 生活や事業活動の中で排出される二酸化炭素(CO2)を、植林などCO2削減事業に投資することで埋め合わせる「カーボンオフセット」についての基準作りに、環境省が乗り出す。

 カーボンオフセットは国内では始まったばかりで、健全な発展のために、内容についての明確な基準や、第三者によるチェックが欠かせないため。識者や事業関係者による検討会が今月発足し、年内に結論をまとめる予定。

 英国では、オフセットの資金が実際にはその目的に使われていなかったなどの事例も起こっている。チェック体制が未整備なためで、オフセットの信頼性を保 つため、環境省では、CO2削減・吸収が1、正確に算定される2、確実に行われる3、重複してカウントされないーなどの条件が必要との指針をまとめてい る。

 検討会では、海外の実例や、国内で行われている風力や太陽光発電の購入を示すグリーン電力証書や環境省の自主参加型排出量取引制度などをもとに、具体的な制度の検討を進める。

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(引用終り)

・国内のカーボンオフセットについての環境省の発表(https://www.env.go.jp/press/press.php?serial=10503)

(以下引用)
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平成20年12月4日

オフセット・クレジット(J-VER)制度 プロジェクト申請受付第1号について(お知らせ)

自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的に削減努力を行うとともに、削減が困難な部分について、他の場所で実現した排出削減・吸収活動等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせること。

今般、申請を受け付けたプロジェクトについて(別添資料1参照)

プロジェクト事業者:高知県
プロジェクト実施場所:住友大阪セメント株式会社高知工場
事業概要:セメント工場のボイラー燃料について、化石燃料から未利用林地残材に転換する
申請受付日:平成20年12月3日(水)
事業年度:2008年4月1日~2013年3月31日
想定排出削減量:1,956t-CO2(2008年度)、2,934t-CO2(2009年度)、以降未定
 なお、本プロジェクトは「国内排出削減プロジェクトからの VER認証・管理試行事業」の一環として、2007年度の排出削減量について試行的認証を実施する予定です。認証された排出削減量については、「我が国に おけるカーボン・オフセットの取組に係る第三者認定試行事業」として、株式会社ルミネの事業活動に起因する排出量の一部のオフセットに用いられる予定と なっています。

(参考)オフセット・クレジット(J-VER)制度について(別添資料2参照)

 オフセット・クレジット(J-VER)制度については、気候変動対策認証センター(事務局:社団法人海外環境協力センター)HP(http://www.4cj.org/jver/index.html)を御覧ください。

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(引用終り)

 以上、国内のカーボンオフセット制度はかなり遅れています。
やっと今ですか...
制度がしっかりしなければ、無駄な投資をすることになります。
多くの寄付金が闇に消えて行くように、今のところカーボンオフセットがそうならない保証はどこにもありません。
特に途上国に投資されるものについては、多くの疑念があります。
完璧なものは無いのでしょうけれど、少なくとも投資して削減できると約束された二酸化炭素が、確実に削減されていることだけは担保してもらいたい。
それが確信できるまでは、いかなるカーボンオフセットにも投資出来ません。
それよりも、ソーラ発電に投資した方が自分で実感できて良いと思います。
例え、その程度では海外渡航分を相殺できないにしても。